染料植物賦(5) 「瓦茸(カワラタケ)」

5+

友人達と離山を歩いていた時、朽木に瓦茸が生えているのを見掛けました。思わず「あっ、これ染められるかも」と言うと、「えっどんな色が染まるの?」と予想以上の反応に、これは染めてみなくては思ったのですがある程度の量が必要で、登山の途中で採取というわけにもいきませんでした。
その後、その時一緒だった友人が「これですか?」という写真とともにたくさん瓦茸が生えているところがあると教えてくれました。いよいよ染めないわけにないきません。本には堅牢度の良い若草色やベージュが染まると書かれているのですが、実際に染めてみなくては実用性があるのかどうかわからないので、羊毛、絹、麻の糸で試染することにしました。
結果、羊毛で明礬媒染ベージュ、銅媒染で乾いた苔色が染まりました。目の覚めるような色とは言えませんが日光堅牢度も良さそうなので、使えそうです。折りを見てその他の媒染剤でも試してみようと思います。
絹と麻は緑がかった薄いグレーになりましたが、日の当たる所に置いておいたら少しずつ退色していったので、これは使えそうにありません。元々羊毛の無かった日本で茸染めがなかったのはこんな所に原因があるのかもしれません。
スウェーデンを旅行した折、「キノコ染のワークショップ」がありました。北欧では茸染めの伝統があるようです。レクチャーしてくれた方は染めに使った後の茸は食べちゃうとか。特に変わった染め方をするわけでは無さそうなので、実践はパスして結果だけをもらうことにしました。その時もらったサンプルは茶、グレー、草色の他赤もあったのにはびっくり。茸で赤色が染められたらどんなにいいかと帰国してから記されていた学名を頼りに調べたのですが、残念ながら日本には無い種類のようでした。それっきり茸染めは頭の隅っこに追いやっていたのですが、軽井沢には茸がいっぱい。植物染料の本を繰っては、何か染められるのがあるといいなあとは思っていたのが、スーパーで売っている茸しか馴染みのない身にとってはなかなか手を出せる染材ではありません。しかし、瓦茸は割りに特徴がはっきりしているので冒頭の呟きになったのです。
茸ではないのですが同じ菌類の地衣類も日本では使われていませんでしたがヨーロッパなどでは染材として使われるものがあります。ハリスツイードの茶色はリッチェンという地衣類で染められていると聞いたことがあります。

リッチェンは日本には自生していませんが、伊豆のさる墓石(!)に生えているのを採取したというマツゲゴケを友人から貰って羊毛を染めたことがあります。ただ羊毛とマツゲゴケを一緒に煮るだけでとても良い茶色に染まります。欲しい染材の一つなのですが、問題はウメノキゴケと区別が付きにくいのとどこに行けば大量に採取できるか分からないこと。泉洞寺の裏のお墓をうろうろするのもちょっと・・・・

瓦茸

裏はこんな感じ

瓦茸で染めた糸

 

5+

2 thoughts on “染料植物賦(5) 「瓦茸(カワラタケ)」

  • by バアソブ
    0

    10月11日に(9:30〜)タリアセンでキノコ観察会がありますよ! もし関心があればと思って。
    いつの日か是非皆に体験させて下さいませんか? その気になってくれる日を心待ちにしています。

    0
  • by タカノキミコ This is post author
    0

    キノコ観察会、すごく興味があります(染料としてより食料として?)が、都合がつきません。残念!
    また機会があったら、ぜひ参加したいです。

    0

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

You may use these HTML tags and attributes:

<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>