軽井沢での庭造り

6+

自然にやさしい庭づくりQ&A

Q.去年、植木屋さんに草刈機で、草を刈ってもらったら、以前咲いていた花が咲かず、寂しい思いをしました。今年はどうしようかと悩んでます。

A.よく、業者に頼むと、庭全部を完全に刈り込んでしまい、自生の花を傷めてしまい植生が変わってしまうことがあります。 わたしたちが気がつかない小さな花や、地味な花でも、自然界には無駄なものはありません。その花を頼りに生きている蝶や昆虫などの生き物もいます。生活に差しさわりのないお庭の一部分は、たとえ小さくても、自然のままに残す配慮も必要です。ほんの1週間ほどの開花時期も、その花にとっては1年で一番大切な時期なのかもしれません。 自然の命は人間だけのものではないのではないでしょうか?

Q.ウチの庭には、西洋タンポポとヒメジョオンだらけ。お隣の庭は、色々な野草が生えるのに、どうしてでしょう?

A.おそらく、建物を建てるときに、表土の上に、他から土を持ってきていたり(客土)、表土をかき回していたりして、自然の植生を壊してしまっているからだと思います。 このような場所が出来ると、一番先に繁殖力の強い外来種の西洋タンポポや、オオブタクサ、ハルザキヤブガラシなどが侵入してしまいます。除草しながら、少しずつ野草を増やしていくより仕方ありません。大変な手間です。できれば、建設時に、表土を保全するように業者に頼んでおくと良かったのですが・・・。

Q.久しぶりに自分の土地を見たら、ずいぶん木が大きくなってうっそうとしていました。しかも、やぶだらけ。木は切りたくないし、どうしたらいいかしら?

A.生えている木の根元を見てください。 もし、根元から何本かに分かれて生えている木が多ければ、その土地はかつて15年に1度くらいの頻度で木を切り、薪炭生産のために利用されていた二次林です。秋11月ぐらいから、芽が動き出す前の4月くらいまでに根元から切っても、木の本体は枯れずに、春先にはまた伸びてきます。 15年に1度くらい切り、やぶを刈ることによって根元まで日の光が差し込む明るくて草花も多い林になります。 詳しくは、管理業者や、「佐久森林組合」やNPO法人「そまびとクラブ」などに相談してください。

Q.山野草が好きなのですが、どうやって手に入れたらいいのでしょうか?

A.山野草で一番問題になっているのは、その店が扱っている商品が、「山採り」(違法に自然界から採取されたもの)かどうかが分からない点です。 長野県の希少植物の減少要因の一番目には「採取圧による減少」があげられています。せっかく山野草が好きで買っても、それが違法な採取を助長し、自然の破壊しているものであっては困ります。イギリスなどでは、第三者機関が、採取によるものではないことの認定を行うシステムが創られていますが、残念ながら日本では、まだ出来ていません。とりあえず確実なのは、お友達で花を育てている人から分けてもらうことです。 「われもこうの会」では、このような花の苗や種の交換もしています。お友達を作りながら、一緒に野の花を増やしましょう。Q.軽井沢の土地は、色々な性質の土壌があると聞きました。私の庭にはどんな花が合っているのでしょうか?

A.確かに、軽井沢の土地の性質は多様です。詳しくは、『軽井沢町誌 自然編』の付録についている、「軽井沢町土壌図」を見て調べてください。図書館で見られます。 もともと自然界に有った花が「一番合っている」といえます。「われもこうの会員」などに聞くのが一番確実です。「聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥」です。親身になって考えてくれると思います。ぜひ、軽井沢にもともと有った花を増やしてください。 表土をいじっていなければ、カラマツを切り(間引き)、クマザサを刈って、日当たりを良くしておくだけで、23年後には色々な花が咲き始めるはずです。  明るい庭には、小鳥も来て、花の種を落としてくれます。どんな花が増えるのかじっくり観察するのも大切です。思いもかけない希少種があなたの手入れを待って日陰で生きながらえているかもしれません。なにしろ、「本州中部にある花はほとんどある」というほど軽井沢の花の種類は豊かだったのですから。

Q.散歩の途中で見つけたきれいな花!。放っておいたら、誰かが取ってしまいそう…。持ち帰ってもいいかしら?

A.花の好きな人は、みんな一度は経験したことだと思います。欲しい気持ちは分かりますが、でももし、あなたがその花を採ってしまったらどうなるでしょうか?次に通る人は、その花に会えなくなってしまいます。 人間以外の生き物で、その花の蜜や花粉を食べ物にしているものも必ずいます。何年か後、あなたのお子さんや、お孫さんが通るときにも、同じようにきれいな花が咲いているような町にしたいものです。 どうか、そっとしておいてください。あなたのためには、その花の写真を撮ってください。不思議と気が落ち着くものです。       「とるのは写真だけ、残すのは足跡だけ」

 

自然にやさしい庭づくり―実践編― (18号より)

山野草を活かして軽井沢ならではの庭を楽しもう!

●湿地を開発してできた別荘地に住んでいます。生垣用のモミが、20年も経つうちに大木に育ち、庭全体が日陰になってしまったので、3年前、夫婦二人で思い切って全部切りました。モミを切った翌年、すっかり日あたりのよくなった別荘で、モミの根元に、サクラソウが一株芽を出したのです。「今まで全く気づかなかったのに、こんなところに!」とびっくり。その後三年間、表土をいじらず、夏の盛りには草刈りをしないで、そっとして置いたら、リンドウ数株、ヤマクワガタの大群落、ヤマハハコの群落、あちらこちらにサクラソウなどが、つぎつぎに咲き出し、再びびっくり。「野の花を待つのも、三年」ですね。  Aki

●家を建てたとき、予算が足りなくて、雑木の生えていた部分を自然そのままに残しておきました。あとでその雑木は、白い花と青紫の実をつけるおしゃれなサワフタギ、春一番に可憐な花咲くミヤマウグイスカグラ、大きなおいしい実を毎年つけてくれるクリ、オレンジ色の花のツツジなどだったことを知りました。予算不足でよかった! 軽井沢の雑木・潅木を、大切にしよう!  F子

●東京の隣の家に、月桂樹の大木があったので、苗をもらってきて植えました。ところが、軽井沢の寒さに耐えられず一冬でだめになりました。それからは、鉢植えの月桂樹をスタンダード仕立てにして観葉植物のようにして家の中で育てています。毎年、夏の終わりに剪定して、葉を乾燥させて、冬のスープに役立っています。冬は家の中の鉢植えの緑も貴重です。自然には逆らわず、暮らしましょう。  M

●やさしく柔らかい雰囲気の庭造りに山野草は欠かせない存在です。また半日陰を好む多くの山野草があることは嬉しいかぎりです。その土地の環境と植生を最大限尊重するも、100%山野草だけでも寂しいもの。人為が加わることで豊かな表情を持たせることができます。この場合いかに園芸種や人工物との折り合いをつけるかのサジ加減がポイント。 形、素材、色がくどすぎずシンプルで山野草との融和がはかれ、相互に引き立てあい自然味豊かな雰囲気作りができるものを心掛けています。今私が腐心しているのは、厳寒の冬の間いかに彩を保つかということです。  太郎山下こぶし沢 H

●うちの庭は、私の植物の知識が増えるのにつれてどんどん変わっています。最初は野菜畑だけ。次の段階はハーブ、コニファー=ガーデン。観葉植物に凝ったこともありました。花のきれいなムスカリや、スイセンを植えたこともありました。 でも、今は軽井沢にある野草を中心に。われもこうの会やお友達からもらった株や、自分が種から育てた花は、春、同じところに咲いてくれて、心やさしい友達が庭に住んでいるようです。野草の庭にしてから、お金をかけなくても気持ちのいい庭が造れることがわかりました。   W子

●街筋から離れ、栗や小楢・こぶしの林に囲まれ暮らしています。「人の住む建物から別荘地の景観へ空間が自然に連なっていく」庭を目指しています。 敷地際には、馬酔木・ドウダン・ユキヤナギのほか、もともとこのあたりに生えていた雑木や野草を織り交ぜて植え込みを作りました。山葡萄の蔓やサンショウが伸びているのには植木屋さんもびっくりでしょう。剪定時は、それらの自然な樹形を大切にしています。 建物近くには、バラや石楠花や三つ葉つつじといった花木を植えました。色の鮮やかな園芸種の草花は、こけむした素焼きの鉢に植えたり、壁や窓を飾っています。 草花の多くは宿根草で、苗として購入する一年草はほんのわずかです。それらを、日当たりや風通しなどさまざまな微自然を感じて、昔からそこに生えていたと思えるように植えています。 置物を置いたり、プラスチックなどで囲いをすることは、最小限にしています。花壇の土止めも蔓草で覆い隠し、素材の数を少なくしています。   千ヶ滝 M

●うっそうとした林を切り開き、家を新築して四年。 お日様の光を浴びるようになった裏庭は、(他人の土地ですが)ルリ草をはじめ四季折々に野の花が咲き、図鑑片手に名前を確かめるのが楽しみです。 一方、野草で一杯にするはずだった我が家の庭は、土を削ったせいか、しばらくは、雑草も生えませんでした。腐葉土を入れ、「われもこうの会」から分けてもらって蒔いた種や、前の家などから移植した苗が、やっと根付いてきて、四年目にしてやっと庭らしくなってきました。花は気に入ったところだと、本当に機嫌よく咲いてくれます。これからも花の様子をうかがいながらの庭づくりです。     A.H.

6+