シラネアオイ探訪の旅

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5月22日午前8時40分。群馬県西北部に位置し、長野県と新潟県(近く)に接する野反湖(のぞりこ)を目指しての旅が始まった。湖に迫る山肌に咲き乱れるというシラネアオイの見学ツアーであるが、前日には土砂降りの雨が降り注ぎ、ツアーの実行が大いに心配されたが見事に晴れ渡った快晴の空にホットした。われもこうの会総会でツアーが決められたのだが、そのキッカケは御覧頂いているHP「会員の声」への昨年の投稿(2018.5.28)だ。余りの美しさに会員から「何とか皆で連れ立って行けないものだろうか!」の声が出て、総会での決定となった。

さて参加者は総勢18名、車両5台に分乗しての移動である。日帰り組(温泉入浴組とストレート日帰り組に分かれる)と宿泊しての登山組に別れたが、筆者は日帰り組のしかも温泉入浴無しのとんぼ返り組のリポートとなっている事をお断りしておく。

国道146号を北上し、長野県から群馬県に入った北軽井沢のスーパーで一休み。近くにライラック園があり視察する事に。北欧の外国の方の所有で、若木が多数植栽されており花はまだ少ないが、開花時期の異なる多品種を楽しめるように設計されているらしい。歩道にチップが敷き詰められており時期を選ぶと、ゆっくりと散策しながら色や香りの変化が楽しめる仕掛けだ。

群馬県の草津温泉近くをショートカットして、国道292号白砂渓谷ラインを北上する。間もなく六合(くに)赤岩地区に到着する。かつて養蚕業が盛んな地区で、養蚕農家などの古い建物が重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。会員E氏の解説で赤岩地区の概要を学んだ後で、ボランティアガイドをやっている関 駒三郎さんの自宅での養蚕業の歴史や、わら細工作りの話を聞かせてもらったが、織物をやる会員との掛け合い談義では時間を経つのが忘れそうになるほどの熱の入ったものだった。

 

六合村(くにむら)赤岩地区の説明をするE氏に聞き入る参加者 赤岩集落は江戸・明治からの家並みを今に残し、重要伝統的建造物保存地区に指定されている 2019.5.22

湯本家住宅 幕末には、長崎でシーボルトに学んだ蘭学者・蘭医の高野長英が、開国論を唱え囚われの身の時に火災で獄舎を逃れこの湯本屋にかくまわれていた。草津温泉の湯元の権利を持っている人が、冬場に当地に降りてきて生活していた事から湯本家の名称がある。

関 駒三郎さん 赤岩地区では明治時代以前から養蚕が営まれており、養蚕に適した3(4)階屋の家屋が残されている 関さんからは養蚕事業の仕組みや、わら細工の説明を楽しく受ける

繭床 作り方の流儀が色々有ることを初めて知る

わら細工の説明に入ると、織物を実践的にやっている会員から矢継ぎ早な質問が次々に飛び出して、関さんも嬉しさ半分、驚き・戸惑い半分での受け答え

3階の床板が通風機能を持たせる為に外された状態   強度がある松材での格子が入っているが、オッカナビックリ渡る会員

桑の葉を摘み入れた背負い籠をかついで記念撮影

わら細工の蓑笠を着て、ちょっとハイテンションなメンバー

関さんを囲んで記念撮影
2019.5.22

更に北上を続け、道の駅六合で小休憩の後に野反湖に向かった。

すれ違うのにヒヤヒヤするような曲がりくねった細い道(林道並み)を暫く走り、ようやく立派な二車線道路に出る。そして間もなく野反湖展望台駐車場に到着する。

野反湖は環境省所管の上信越国立公園でも有るが、林野庁関東森林管理局吾妻森林管理署が管理する野反自然休養林になっていることもPRしておきたい。

野反湖(のぞりこ)は標高1513m 初夏から初秋にかけて、300種以上の高山植物が咲き乱れる 人造湖で正面奥に堤体(ダム)があり、画面右の奥地は秋山郷に至る

展望台のベンチで参加者が小グループに別れて昼食をとる。途中の道の駅でオニギリを求める作戦であったが、下界のコンビニとは違い目的物は無く不本意ながらパンでの昼食となった。しかし奥様方のご厚意で、手作りのオカズが次から次に登場し楽しい昼食となった。

お腹が膨れたところでの山歩きはちょっときついが残りの時間は迫っている。標高差は50m程度であろうか、シラネアオイの群生地目指しての登山?を開始する。歩道に沿って矮性化したショウジョウバカマが咲いているが、山頂側から降りてくる登山客は「上には何もないよ、風が強いだけ!」と投げやりな言葉が耳に入る。よっぽど期待はずれの山頂であったのだろう。しかし我らの目的地は山頂にあらず、途中から左に折れた森林方向だ。大きなカメラを担いだ男性と、「シラネアオイは如何でしたか?」「今年は少し寂しい感じだね・・・」のやり取り。

虎テープに沿って歩いていくと、出たぞ「シラネアオイ群生地」。

 

林床にシラネアオイの群落が育つダケカンバ林 樹皮が灰褐色で光沢が有り、薄く剥がれる この薄い樹皮は良く燃えるので冬山の燃料に使ったりする シラカバは少し標高が下がった所に分布するが、1本だけ紛れ込んでいるのを発見

シラネアオイの群落 キンポウゲ科シラネアオイ属 1属1種の日本特産種 北海道と本州中部地方以北の主として日本海側の雪の多い深山に生える。

域内には約8万7千株シラネアオイが確認されている

花びらに見える薄紫色のものは、花弁ではなく萼片(がくへん) 中央の黄色い部分に多数の雄蘂(しべ)と中央部に2個の雌蘂がある 日光白根山に多数分布することからの名前

急な斜面を登るメンバー 左側のダケカンバ林と奥地のクマザサの林床植生が異なっているのが分かるが、ほっておくとササの侵入が考えられるので人工的に対策をしているのではないか?

急な斜面で一息つくメンバー 後ろにシラネアオイの群落が見える 2019.5.22

この後、野反湖展望台 泉屋まで移動し、日帰り組(とんぼ返り組)5名は一路軽井沢に向かうことになった。

会のメンバーは例会ではひたすら除草作業に集中しており、作業後のお茶会が唯一の交流の場になっているが、今回のようなツアーが毎年場所を変えて行われることで、よりお互いの絆が深まるのではなかろうかと期待される。

 

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1 thought on “シラネアオイ探訪の旅

  • by Anonymous
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    車を出してくださって有難うございました。
    その後、尻焼温泉の宿で入浴、宿泊組はそこで泊り宿の雰囲気、食事に大満足し、翌日、七面山登山し眺望を楽しみ、前日と同じ場所で野反湖を眺めながら昼食。
    チャツボミコケ公園に移動し美しく珍しい苔を見て、草津温泉の無料のお湯に浸かって夕方帰宅しました。

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