軽井沢の花と蝶展【石川功一✕栗岩竜雄】

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われもこうの会の会員で、中部小学校の野外観察活動の指導的役割を担っている栗岩さんの写真展が開かれています。会場は軽井沢の山野草を描き続けてきた、石川功一先生の作品を展示している「小さな美術館 軽井沢草花館」です。会期は11月19日までですが、黒岩さん自身が作品を紹介してくれる「栗岩さんのお話し会」が、これまで2回(8月5日、16日)行われており、残り1回が今月26日に午後3時から1時間半の予定で軽井沢草花館で行われます。

16日の開催に参加しましたので、概要を会員の皆さんにご報告しますが、栗岩さんの幅広い知識と経験が、軽妙な話口調に乗ってあっという間の90分です。「蝶の美しさと不思議な行動」の魅力に憑かれた参加者一同は、是非また参加したいとの思いで解散しました。

会員の皆さんも、最終回の機会を逃すことなく、生で栗岩さんのお話を聞く機会を作られます事をお勧めします。実に楽しく、山野草の見方にも新しい視点が加わること間違い有りません。

11月19日まで開催してますが、栗岩さんの生の解説が聞けるのは、次回8月26日(土曜日)午後3時~4時半が最後です。
会場は時間前に駐車場は満杯になりました。小さな駐車場ですから、イザという場合には目の前の有料駐車場の利用を覚悟に。
石川先生は会員の皆さんが承知の大先生。軽井沢の900種を超える山野草のスケッチと、多くの草花油彩画の展示が軽井沢草花館で息子さんの手で続けられている。 栗岩さんは、ご存知の会員仲間。中部小学校の自然観察クラブの講師として活躍しており、幅広い自然観察眼を持っているが、蝶に関しては50年の超ベテラン観察眼。その経験を楽しく話してくれて、1時間半はあっという間に過ぎてしまう。
石川先生と栗岩さんの面識が全く無い中で、今回の企画展が、いかなる思いから出来上がっているのか? 栗岩さんの熱い想いを是非とも会場でお聞き下さい。
会場の裏庭にはフシグロセンノウ、キキョウ、ユウスゲ等が咲いています。
鉢植えのキレンゲショウマ(ユキノシタ科)も裏庭の山野草に仲間入り。
小さな美術館 軽井沢草花館の館長さんをやっている、石川先生のご子息である石川 寛さんの司会で「栗岩さんのお話し会」は始まりました。
会場の入り口付近での写真からの解説で始まりました。御婦人を中心としてメンバーで10名余りの参加者が熱心に話に耳を傾け、質問も沢山出ていました。
最初に紹介されたのがアザミと蝶の関係。子供の頃に身近にあった草花の代表がアザミ。これに寄ってくる蝶は都合の良い遊び相手だった。栗岩さんの蝶と山野草の写真と、石川先生の山野草の絵画が対になって展示されている。
アサギマダラとヨツバヒヨドリ アサギマダラの細く小さい胴体に比較して大きい羽根が、一旦舞い上がったら気流に乗って遠くまで移動できる特性を備えている。エアーペンシルという、求愛行動の際に雄が雌に匂いを出す器官が写真に写っている極めて稀な一枚を紹介。
コオニユリとアゲハチョウの関係や如何に!  蝶が蜜を吸う体勢と、ユリの雄しべの先の花粉が蝶の身体について、次のユリに行った際に雌しべの先端に花粉を付ける位置が上手く合うような仕掛けになっているのが自然の面白さとか。自家受粉より他家受粉がより強い子孫を残せる方法とも説明。
蝶が幼虫の時代に食べる草を「食草」と言う。 国蝶のオオムラサキはエノキを、ミドリヒョウモンはスミレを食草に。 会場から「どうやって食草に蝶はたどり着くのですか?」との質問に、「食草から発せられている揮発性の物質に蝶が反応してやってくることがわかっています」
栗岩さんの真剣な目。解説に力がこもって来てます。 カラスアゲハ(多くはミヤマカラスアゲハ)の食草はコクサギ(ミカン科)です。多くが水辺の様なところで水を吸っているように見えますが、これは喉が渇いて水を吸っているのではなく、土から溶け込んでいるNaイオンを蓄えていることがわかってます。お尻から水がポタポタ出ているので 水分補給ではないことが分かります。 会場から「何でNaイオンを蓄える必要が有るのですか?」「いい質問ですね・・。雄が雌に求愛行動して雄から雌にNaイオンを渡すらしいですが遺伝形質に何らかの働きをすることがわかってます」 話はかなり難しく、科学的な専門用語が出てきますが我慢を少し。
これはですね・・・、先生と私は残念なことに全くお会いしたことが無いのですね。本当に今こうして先生の絵画と私の蝶の写真のコラボ展を開かせてもらってますが、本当にご存命の機会にお会いしてないことが悔やまれます。そんな二人の関係ではありますが、先生がスケッチ活動で野外にいらっしゃったその同じ日に、私は野外で蝶の写真を撮っていた日が有るのですね。偶然ではありますがそんな事実がわかる写真と絵画を並べさせて頂きました。お互い知らないだけですれ違っていたかも知れませんね・・・。その一例が、このノハナショウブとヒカゲチョウです。
1987.8.16~2006.7.8までの20年間で、62日間の二人の同一野外活動日があることが判明
床に座り込んでの解説です。会場の人もじっと視線は栗岩さんの目線の先です。
ワレモコウを食草とするヒョウモンチョウの説明です。「幼虫を気持ち悪いーなんて言わないで」と話してます。
会場の片隅に行けられていたワレモコウ 何とも、有るところにあると素敵な姿を見せてくれるのだね。「見直したよ!」の声あり
ユウスゲの前で コキマダラセセリが減ってきており、絶滅危惧種への仲間入りが心配される。背景にこの蝶が繁殖地としてきた草原が少なくなってきており、草本性の場所が樹木が大きく森林に遷移している背景があるとの説明。
クサコアカソ(イラクサ科)Boehmeria tricuspis var. unicuspis 「 石川先生が、こんな地味な草もスケッチの対象としていたことに驚 きです」 これを食草としているサカハチチョウの紹介。年2回発生するが春型と夏型で羽根の文様が異なる珍しい蝶。展示写真は2個体の羽根が表のものと裏のものが並んで撮れており、文様が表と裏で顕著に違う変化を楽しんでもらいたい。
ヤマガシュウ(ユリ科)別名サイカチバラと言われるように棘がある植物。これを食草とする蝶について説明があり、雄雌の体型は大きい方が雌、目の大きさは雄が大きいとの事。それぞれに子孫繁栄の為や敵からの防御のためなどの意味があるかと想像する。
最後にレッドデータについて解説があり、細分化されてランクはあるものの、これに搭載された生き物全てが貴重なものであり保護のために何が出来るかは、お互いに真剣に考えていかなければならないとの話が有りました。会場からは蝶と蛾の区分はどうなっているのか、蝶を通して生物多様性を大切にしなければいけないことが良くわかった等の質問や意見が解説の途中で随所になされたのが印象的でした。
2015年8月に出版した「軽井沢の蝶」にサインする栗岩さん。絶版ですが、残り僅かを破格値で会場でお分けしてます。

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