7月21日、恒例の野外作業が終わってから、われもこうの会発足当時からの会員、行田(ぎょうだ)さんのお宅を訪問した。庭の入り口では、バラがトールペイントされた年季の入ったオープンガーデンの看板が出迎えてくれる。
庭までの小路には背丈の高いヤマユリが列をなしており、庭で私達を待ってくれていたのは青々と広がる芝生の絨毯だ。その広さは約200坪、半端な広さではない。3センチぐらいに刈り込まれた野芝と並んで、3年前に播種し直した洋芝が薄く刈り込まれ、パッティンググリーンそのものとして広がっている。
芝生の緑が切れる家屋の周辺には、白・ピンク・青・黄と色鮮やかに草花が咲き乱れ、正に「軽井沢版ターシャの庭」である。
目の位置を少し上げると、コウヤマキやイチイ等の針葉樹に加えて、カエデの仲間などの広葉樹が敷地周辺を固めている。
行田さんは50年程前に現在の地に居を求めた。当時若者の憧れはテニスで、自宅周辺に数あるテニスコートを仕切る金網が目に入り、まるで鶏小屋に自分が住んでいる気分になったとか。そんな目障りな景色を遮るために、敷地界に沢山の樹木を植え込んだのが庭造りの始まりで、山野草が大好きな奥さんとのタッグマッチ(バトル?)もこの時から始まったそうだ。
ご主人が務めていた役場を退職し、本格的な庭造りが始まって30年が経つ。役場時代の経験を活かし、庭造成に必要な重機類も自分で操作し、(一時期は借り物で我慢していたが、遂には購入する事に)芝地の整地や池作り、東屋の造作などを全て自分でやった。
東屋の囲炉裏を前に、これまでの庭造りの経過をお話いただく姿には、85歳とは思えない自信に溢れた若々しい笑顔があった。
(お名前掲載は、御本人の了解済み)
庭の入り口に置かれたオープンガーデンの看板
広葉樹(ケヤキ)の巨木の1枚板だ
2個の壺は00焼き? 季節の草花を投げ入れるのだろう 2019.7.21
ヤマユリが列をなしているが、全てこぼれ種からのもの 開花した時の強烈な香りは訪れた人の記憶に永く残るであろう
芝の上側の緑の濃い部分が3年前に播種し直した洋芝、それ以外の多くの部分が野芝
雑草防除には芝の刈り込みが重要 3日に1回は刈る事で成長が早い芝は生き残り、雑草は淘汰される
家の前の花壇は、昔はご主人流に全てが芝で覆い尽くされていた しかしNHKのTV取材の際に「家の前には花壇でもお作りになる予定なのでしょう?」と聞かれ、「ええ家内が山野草が好きなのでいずれ・・」と弾みで答えたのが言質となり今があるとか
軽井沢版ターシャの庭もかつては芝生だった 植木と芝がご主人の、草花が奥さんの管理責任での棲み分けとか しかし、植木下に知らぬ間に草花を植え込む奥さんとの勢力争いに、ご主人は負けそうと
白のアジサイを囲んで色とりどりの草花が植えられている フウチソウの揺れる姿が涼やか
野外で育つサボテン???
軽井沢の厳寒期でも野外で育つサボテンだ 私にはとても信じられなかったが、これは事実 立派な蕾を沢山つけている
庭の片隅には東屋が建っている 家屋の廃材を焚き付け用にもらった中から選び出して自力で建設 東屋の右に井戸がポンプアップされており、その水が常時右の池に注がれている
こぼれ種から芽生えたコスモス苗に囲まれた桶(おけ)は一体何でしょう? ウィスキー工場から手に入れた樽を半分に切ったもので、コマクサが育っている
この池は重機を自分で操作して作った 当初は自宅の脇にあったが、近すぎる環境の問題もあり、少し離れた現在の位置に変更 汲み上げられた地下水が弛みなく注ぎ込まれている
樹木には樹名板が付けられている この几帳面さは役場勤務の延長か? 珍しいカエデの仲間が植栽されている
「このマーガレットは茎が太くて丈夫でね、倒れたりしないので何時までも綺麗なんだよ」とご満悦なご主人
「ご主人は庭造りを楽しそうに話していますが、奥さんはご苦労が多かったのでしょう・・」「そうね・・、何でも自分でやってしまう人だから 私も花好きで主人に負けないでどんどん植え込むので、お互い楽しんでいるのよ!」
全員集合 奥様手作りのキャベツの浅漬け、花豆等のお茶請けを頂きホット一息 「大変貴重なお話を有難うございました!」
フクロウのコレクションが趣味。画像は「なんでだろうな?」の標題で長野市の女流切り絵作家の作。好奇心の塊が若さの秘訣か。
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