最近道路沿いの空き地に房状の黄色い花が群生して咲いているのが目につきます。「あれ!背高泡立草がもう咲いている?」
外来種という事を置いておいても、その繁殖力と花粉症のアレルゲンという誤解ですっかり嫌われ者になってしまった背高泡立草。昔、イギリスに留学したことのある先生からこの植物で黄色を染める事を教わりました。花が咲き始める頃に染めるのが一番いいと。確か花の時期は10月か11月。軽井沢ではもう桔梗や女郎花が咲いているし、背高泡立草も早く咲くのかしらとも思ったのですが、ちょっと風情が違うような気も。ネットで調べてみるとありました!背高泡立草によく似た大泡立草。こちらは8月ごろに咲くとのこと。共にキク科アキノキリンソウ属で、違いは”背高”は葉や茎に細かい毛があり”大”の方はツルッとしているというので、早速調べてみると確かにツルッとしています。今まで2種類あるとは知らなかったので、私にとっては”発見”でした。
19世紀の生活に憧れて実践した絵本作家ターシャ・テューダーの生活を紹介した本「暖炉の火のそばで」の中には庭に勝手に生えてきた「アキノキリンソウ(日本では悪名高い”泡立草”を使うのを避けたのでしょう)」をターシャが愛で毛糸を黄色く染めるのに使ったと、花束を抱えたターシャの写真とともに紹介されています。イギリスの古い植物染めの本には、イギリスにおける黄色を染める植物の1つとして”Golden Rod”の記述があります。いずれの場合も「背高泡立草」か「大泡立草」かは判別できません。多分どちらでも同じように染められるのでしょう。
ところで、黄色と茶色を染められる植物は沢山あります。濃度や堅牢度を考えなければほとんどの植物で染められるのではないかと思います。しかし、その中で昔から染料として使われている植物はある程度限られています。
日本の場合、なんと言っても刈安それも近江刈安が色相がいいと言われています。黄八丈に使われているのは八丈刈安とも言われる小鮒草。ウコンの根やキハダの内皮は鮮やかな黄色で防虫効果があるという事で、着物や大事な物を包む布に使われていましたが、堅牢度の点ではあまり実用的ではありません。染料名を渋木という楊梅(ヤマモモ)の樹皮は落ち着いた黄色で堅牢度も良いのでよく使われます。
ヨーロッパや中近東では、ウェルド(モクセイソウ科)、ザクロの実の外皮、玉葱の茶色い皮、ダイヤーズブルーム(エニシダの1種)そして泡立草、etc.。
その他大黄(軽井沢では馴染みのルバーブはこの仲間で、根で鮮やかな黄色が染まります。)、我が工房の名前槐(エンジュ)の花なども元々日本ではあまり使われていませんでしたが、私は好きな染料です。
さて大泡立草に話しを戻します。黄色を染めるには花の咲き始めがいいのですが、若葉の頃に先月のスミレの葉でご紹介した山崎青樹氏のやり方で染めると地味ながら濃いめの緑が染まります。

7月29日追分にて

大泡立草の花
7+1 thought on “植物染料賦(3)「大泡立草」”
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草木染には以前から関心があったので、高野さんの記事を読むのが楽しみです。染めた時どんな色になるか分ったりすると、生えている草花を見た時の感じ方が変わりますね。