庭の片隅に雪が残る中、枯葉の上をピョンピョン跳ねて来たと思ったら、餌台まで一気に舞い上がった鳥がいた。茶褐色の目立たない色だが、顔を見てドッキリだ。随分と凝ったメーキャップをしている。
目の周りをぐるりと真っ白に塗っているだけでは足りず、目の後ろまで白線をキリリと引いて、歌舞伎や京劇の役者顔を連想させてくれる。眉の様に目の上に白い帯を引く鳥はウグイスやツグミ等がいるが、目の付け根から更に後ろに引く鳥は記憶に無い。
メジロの親分じゃあるまいし、生意気に鬚らしき黒いものを嘴の付け根から出している。
軽井沢の町の鳥に指定されているアカハラに似ているが、目の周りが全く違う。一体この鳥は何じゃいな??
日本野鳥の会軽井沢支部が作っている探鳥会確認種チェックリストの一番最後に、ガビチョウという聴きなれない鳥の名前がある。
中国南部やベトナム・ラオスなどに自生するが、鳴き声が美しく飼い鳥として江戸時代から我が国に輸入されていたらしい。飼育に飽きた等の理由により放鳥されたものが野生化し、国内での分布が徐々に広がっており東京郊外の高尾山がガビチョウ探鳥のメインスポットとなっている。
初めてガビチョウの鳴き声を聴く人にとって、甲高く透き通った声は実にファンタスティックで、ウグイスやオオルリ等の多くの野鳥の鳴き声を真似する変わった鳥としても珍重される。
中国では画眉と言われ、朝の公園等で見られる鳥の鳴き声の美しさを競うコンテストにも使われる鳥である。
しかし、聴き慣れるにしたがって、余りの甲高さが騒音として迷惑がられるに至り、我が国では必要に応じて防除対策が取られる特定外来生物に指定されてしまった。従って、我が国の野鳥図鑑には載っていない鳥であり普段は目にしない名前であるが、日本の侵略的外来種ワースト100選に選ばれるという不名誉な烙印を押されている。
ガビチョウにとっては、異国に連れてこられた以降の人間様の身勝手な振る舞いこそが問題なのであり、はた迷惑な話しとしか言いようが無いであろう。それにしても初夏に聞こえるこの鳥の鳴き声は、「あー軽井沢らしい美しい鳴き声ね!」と旅人に言わしめる程に響き渡るのでご注目を!
フクロウのコレクションが趣味。画像は「なんでだろうな?」の標題で長野市の女流切り絵作家の作。好奇心の塊が若さの秘訣か。
ガビチョウの鳴き声を 一度ゆっくり聞きたいな~と思いました
テープではなく、現地の自然の中で……。
どんな鳴き声なんだろ~?